トップページ ニュース FLAGとは? 配信情報 スペシャル メールマガジン PLAYLOG BD&DVD&CD

SPECIAL

植田日記#7

8月15日(火)『終戦記念日−戦争−死−を考える』

ガラになく、まじめなタイトルでスタート。
終戦記念日は新しい日本のスタートであった。

宇宙世紀0079 ジオン軍と連邦軍の間で終戦協定が結ばれた。

27年前杉並の上井草、サンライズの第一スタジオでその作品と出遭った。
まさに、自分の人生を決めてしまった作品。
「機動戦士ガンダム」
言わずと知れた、いわゆる「ファーストガンダム」という作品である。
戦争をアニメの舞台に持ち込み、そのリアルさとストーリーに多くのファンがいまだに支持してくれている。

「たかがアニメ、されどアニメ」
自分がそのアニメから学んだ最大の言葉。
今考えると、とにかくすべてのこと、そして人が導かれるべくして集まったという気がしている。
そのスタッフの末席にスタッフとして関われたことはまさに光栄というかラッキーに近いと思っている。

その作品には、たくさんの「ガンダム戦士」達がいた。

8月6日、ブライト艦長の声優鈴置さんが亡くなった。

訃報に接し、27年前のスタジオでの風景が思い出された。
まだ、スタジオに入ったばかりの新人植田は、富野監督以下スタジオスタッフと、カット棚の上に置かれた14インチのテレビから流れるガンダムの放送を見ていた。
多分、5話だったと思う。
ブライト艦長のセリフに、びっくりした。
だって、10代の青年のセリフには聞こえなかった。
なんでアニメでこんな内容をやらなければいけないの。
その時、素直にそう思った。
でも、一年後正確に言うと10ヶ月後、その感想は見事に変わっていた。
こんなことを一生懸命やっている場所は他にはないと。
アニメの持つ可能性に、会社を辞めようと思っていた自分はこの世界に踏みとどまった。

鈴置さんとは、仕事でのつながりしかないが、一年前に別な番組のゲストに出てもらった。
それが最後となってしまった。

ガンダムの戦士たちは、セイラさんの井上さんをなくし、マクベの塩沢さんをなくし、音響監督の松浦さんをなくし、主題歌の井上大輔さんをなくした。
みな、まだまだ十分過ぎる若さであった。

いつの世でも人は戦い続けるかもしれない。
でも、いつの世にも「希望」はあり、どんな時でも「仲間」はいる。
そんな「ガンダム」が自分はとても好きだ。

そんな「ガンダム」とその作品に関わった多くのスタッフが教えてくれたこと。 「プライド−誇り」をもち「たかがアニメ、されどアニメ」
作品と真摯に向かい合うことで、きっと明日が見えてくる。

その気持ちを常に胸に刻み、「Flag」を立ち上げた。
作品はガンダムには及びつかないかもしれないが、気持ちだけは負けないつもりだ。

「君はいきのびることができるか」
いつも前を向いていようと思う。

鈴置洋孝さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌。

エグゼクティブ・プロデューサー
植田 益朗

BACK


©TEAM FLAG/Aniplex・The Answerstudio