トップページ ニュース FLAGとは? 配信情報 スペシャル メールマガジン PLAYLOG BD&DVD&CD

SPECIAL

宮武一貴インタビューその1

Q本作に登場する「HAVIC」についてお聞かせください。
宮武『FLAG』自体が「今、目の前にあるような世界」ですから、そうした目の前にあるような話の中でHAVICという“乗り物ともなんともつかない、ぎりぎりの小さな兵器”……兵器と呼ぶかどうか、と言えば兵器なんですが……それが活動する、行動する。そのリアリティと言いますか、いかに迫ってくるか、それを目標にしてデザインしました。つまり現代の、この街の中で……いや、実際に日本の街中で動かれる事態は困ってしまうけども(笑)……自分のそばにいて少しも違和感のないもの、今いないほうが不思議だというくらいの“近いもの”を作ってみたいな、という意識が一番強かったですね。

HAVIC01
Q過去に携わった作品と比較してHAVICのデザインは、自身の中でのどのような位置づけになりますか?
宮武一番距離が近い。つまり、現実の生活している自分と一番近くにいるということですね。かつてスタジオぬえで、僕は“パワードスーツ”というものを描いたことがあります。パワードスーツはHAVICよりは小さいんですが、それは“服”として作ったものなんです。しかしそれは、今を去ること30年近く前にデザインしたもので、その時点ではまだテクノロジーのバックグランドも何もない時代に一生懸命考えたものです。それに比べたらHAVICは本当に普通のロボット、今、目の前にいるロボットと、どこも違わない。きわめてアクチュアリティの高いもの、リアリティの高いもの、ということがまず大前提にありました。それをいかに身近なものとして自分の前に姿を見せるか、それが一番問題といいますか、チャレンジする部分でしたね。

QHAVICデザインの変遷に対して、お伺いできますか?
宮武HAVIC04最初に話が来たときは、まず「パワードスーツを描いて欲しい」ということでした。キャラクターとしてのパワードスーツが欲しいと。それは非常にリアルなもので構わない。それでいてカッコいい、キャラクター性の強いもの、というような漠然とした要求でした。それで、その時に何体かのパワードスーツを描いてお渡ししたんです。ただ次の打ち合わせの時には、オーダーが“パワードスーツ”ではなくて“乗り物”に変わっていました。服と乗り物では全然違いますが、でも、やっぱり出てくる条件としては、出来る限り小さいサイズであること。それは変わらなかったんです。服よりも小さい乗り物はありえないので、下限はあるんですが(笑)、つまり自分のそばにいる等身大の乗り物であって欲しい、そうしたロボットが欲しいという話でした。
 そこが起点となってデザインが次の段階に入ったのですが、高橋総監督から、頭をなくそうとか、足が変形できないか、などの指示の下、第4稿で最終的なデザインとなりました。すでに動力系というか燃料系のしくみは現在ではまだぎりぎり実現していないけれども、それ以外の要素は現実にあると思って間違いないと思います。
Qデザインした時点で武装をどうするかということも考えられていましたか?
宮武使える武装というのは、国連軍が平和維持軍として活動する上で問題なく使える武器。となると何せ機体がこの大きさですから、搭載できるとすれば、いいところ7.7ミリ機銃。大きくても12.7ミリ砲とか20ミリぐらいでしょう。20ミリ以上だと機関砲ではないですね。そうなると大型の火器となってしまいから。HAVICというのは、そのくらいの大きさでしかない、本当に小さなモノなんです。手持ちでも大型火器は無理。だから何が出来るかというと、実はあんまり大した事は出来ないんです。というか戦線に影響を与える、あるいは戦線を決定付けてしまうような能力は持っていないんです。ただ神出鬼没といいますか、相手の見ている前でガタガタとどんどん変形していって、相手が狙えない、狙っている暇がないくらいに変幻自在な動きを見せる、高機動で動き回る兵器。そういった部分に価値があるんだろう、という存在であり、そうしたデザインですよね。
HAVIC02HAVIC03
Q実際に動いている映像をご覧になられた感想はいかがでしょうか?
宮武いやぁ、よく出来たな……という感じですね。目の前にあるような小さな兵器というのは、人との対比で出てきますから、ごまかすことが全く出来ません。大型のスーパーロボットとは根本的に違うところですね。その分、スタッフの苦労は大変ですよ。なかなか実現できなかった理由もそこにあります。

Q見てみたいHAVICのアクションとかありますか?
宮武いくらでもありますよ(笑)。『FLAG』はカメラマンの視点の作品なのですが、カメラマン自身がHAVICや最前線にそれほどついていけないですよね。そのために機体の後ろに椅子をつけて、そこに乗っかるというのも考えたんですけどね。カメラマン席ですよね。それが、今後、どうなっていくやら(笑)。
HAVIC05
Q視聴者のみなさんには、どういったところを見てもらいたいですか?
宮武単純にメカを見てくれと言ってしまえば、デザイナーとしては簡単なんですけど(笑)。もっと言うならば、アジアの黄金の三角地帯やヒマラヤの麓の国で実際に振られている国連の旗、それに描かれている人物の顔立ち。あの旗が本当の旗なんだ、現実の出来事なんだ、我々の身近にある出来事なんだということをまず一番、如実に感じて欲しい。そういうことがHAVICのデザイナーである僕からのメッセージであり、求めていることです。つまり、そのためにHAVICをデザインしています。ですからHAVICというものは架空のものでもなんでもなくて「今そこにあるものだ」ということですね。

BACK


©TEAM FLAG/Aniplex・The Answerstudio