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FLAG予備知識集 / 桝谷直俊
■「HAVWCの祖先、エクソスケルトン」

いつもこのblogを読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。
そういえば以前ここで「私の軍事に対する興味は、メカとは別のところにあるんですけど、その話はまたいずれ」と書いたままその話を書いていなかったので、簡単に。
私の軍事的な興味は、一言で言うと「システム」の方面にあります。人間が戦うにはただ兵士がいればいいだけではなく、個々の兵士を戦術的、戦略的、あるいは補給や技術などさまざまな方面で相互に支援しなければなりません。軍事というものは巨大なシステムなのです。例えば1丁の銃をとっても、その銃の形には、そういう形になったシステム上の理由というものがあります。そのシステムの奥深さが、私にとっての軍事の面白さです。ですから私は、デザイン的に美しいメカよりも、変わった形をしているメカが、どうしてそうなっているのかというシステムの方に興味をそそられるのです。
私も、例えばF-14トムキャット戦闘機なんかは美しくてかっこいいなあと思いますが、機体からいびつにレーダーが飛び出している早期警戒機など、普通にメカ好きの人が不細工だと思うかもしれないものも好きだったりするのです。

さて今回は、そんな軍事の「システム」から生まれつつある、エクソスケルトン(Exoskeleton)の話をしましょう。

エクソスケルトンは、『FLAG』第2話劇中で「HAVWCの御先祖様」という形で語られていたのを覚えている人がいるかもしれません。実はこのエクソスケルトンというのは現在実際に、アメリカ国防総省の研究・開発部門であるDARPA(高等研究計画局)の主導で開発されています。例えば、カリフォルニア大学バークレー校ロボット・人間工学研究所の開発した「BLEEX (Berkeley Lower Extremities Exoskeleton)」などです(リンク先に写真)。
これは、人間の動きにあわせて動力が作用し、荷物の荷重を軽減する働きがあります。このエクソスケルトンは軍用以外にも消防などのレスキューの方面での使用が見込まれていますが、現在の計画では、これを着用した兵士は100kgの装備を携帯し、時速25km以上の速度で長時間の行軍が可動になるということです。もし実用化されれば、兵士は重い荷物を背負って長時間行軍しても疲れは最小限で済むでしょう。生身の人間ではとても背負えないような重量の物資や機材の運搬も可能になります。

兵士というものは、何かと荷物を背負わないとなりません。武器弾薬は当然として、水や食料ももちろん所持します(大部隊で移動するときでも、何かの拍子ではぐれてしまったときのために必ず個々の兵士が持たないとなりません)。他にも地図やコンパス、ライト、雨具、応急処置などに使う医療品、塹壕やゴミを埋める穴を掘るためのスコップ、無線機など。場合によっては暗視装置、飛行機を誘導するためのレーザー標的指示装置、迫撃砲や対戦車火器、偵察目標を撮影するためのデジタルカメラやその画像を味方に送るためのノートパソコン、地雷(地雷設置が任務でなくても、一時的な防御用として地雷は使います)、破壊工作に使う爆薬、ガスマスクなどの対化学・生物兵器装備、テントや寝袋など。長期間敵地内で行動する特殊部隊ともなると必要となる食料も当然増えますし、その「特殊」な活動をするために必要な機材もいります。そのため、時には兵士は90kgにもおよぶ荷物を背負わないとなりません。いくら日頃から鍛えている兵士でもこれは堪えますし、足の歩みも遅くなります。ですがエクソスケルトンが実用化されればその負担は大きく減り、重い荷物を背負っていても戦う余力を残しておけるでしょう。実用化までには、長時間エクソスケルトンを動作させる電力をどうするかなどという技術的問題がまだ残っていますが。

またエクソスケルトンに、防弾性能を持たせて全身を覆うようにするという計画もあります。そうやって進化していけば、これを装着した兵士は重い荷物を背負っているにもかかわらずスプリンターのようにダッシュでき、巨大な火器でも軽々と扱えるようになり、さらに敵に攻撃されても小銃弾くらいものともしなくなるかもしれません。まさしくロボット・ソルジャーです。 ですがこれはあくまで人間サイズで、一人の人間をパワーアップすることを目的としているものです。それに中に人間が入らないと動かせませんから、ロボットと言うよりは強化装甲服とかパワードスーツというほうが近いでしょう。そもそもexoskeletonとはそのまま「外骨格」という意味です(『FLAG』のHAVWCも設定上は、戦車や装甲車の発展系というよりは歩兵の強化という設計思想がなされていることになっています)。

ではさらに将来、このエクソスケルトンをさらに巨大化したような、巨大ロボット兵器が登場する可能性はあるのでしょうか? 次回はそれについて書きたいと思います。


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